『朝の詩』
先日、ある屋根工事の協力会社さんの事務所に伺った時に、この『 朝の詩 』と書かれた色紙を見せてもらい、コピーを戴いてきました。
この『朝の詩』の題字を見た時、「あれっ、どこかで?」と思い、尋ねたのですが、やはり私も愛読しております産経新聞に連載している詩集の中の一作品でした。
私はこの記事を見落していたので、ここに掲載し、ご披露させて頂きます。
なお、この色紙はこの業者さんの会長さん(社長のお父様)の自筆によるものです。
『朝の詩』を説明しますと、産経新聞朝刊第一面に連載されている読者投稿の詩集ですが、現在105万部の販売でなおも記録更新中の詩集『くじけないで』の作者である98歳の《柴田トヨ》さんが投稿の常連さんである事が有名です。
凧
凧が空高く飛べるのは
誰かが糸を引っぱっているから
でも凧はその糸さえなければ
もっと自由に空を飛べると思っている
その糸がなければ
地上に落ちてしまうのも知らずに
さてこの詩ですが、すんなりと読み流してしまうと、この
「凧糸」の意味と中身を読み過ごしてしまいそうになりますが、もう一度じっくり読み返すと大変意味深い内容である事が分かります。
作者はこの凧を自分たち人間社会になぞらえて、詠まれたのだと思います。
即ち、気持ちよく高く飛ぶ凧にとって、この凧糸がなければもっと
もっと高く自由に飛べるのに、と思っていると想像し、でも凧さん、この糸が無ければあなたは落ちていくのですよ、たった1本の細い糸でもこれがあるから強
風の青空に力強く舞い上がるのですよと言われているのです。
これは私たち人間社会ではこの凧糸は「束縛」であり、また「悩み」「不運」「ジレンマ」「制約」であって、それらは確かに自分たちの人生を縛り、自
由を奪っているように見えるが、これらの制約が無くなってしまったらまさしく凧のようにユラリユラリと落ちてしまうと言われているのではないでしょうか。
人間誰しも制約や障害はあります。この作者はこれらの人間界での制約や障害を排除するのではなく、正面からしっかり受け止める事が大切だと言われているのでしょうか。
話は変わりますが、私が幼少の頃から母親に言われ続けている言葉があります。
「アキノリ、人生はいつも下(シタ)見て生きなあかんのやで、上見てばっかりやあかんのやで、お祖父ちゃんはいつも人間ほどほどがええと言ってたんやで。」
障害や束縛などの制約ではありませんが、贅沢をせず、つつましく暮らせと言っているのでした。
私にはこの二人の言葉がいつも離れずにあり、しっかり後継者にも伝えていこうと思っています。
平成23年2月号