高耐震住宅とは 耐震等級だけでは分からないこと

1.「耐震等級3」だけでは安心できない理由

日本は世界有数の地震大国です。
そのため、住宅の耐震性能は家づくりにおいて非常に重要な要素の一つです。

中でも「耐震等級3」は、現行の耐震基準における最高等級として知られており、多くの住宅会社がこの等級を「安心の証」としてアピールしています。

しかし、私たちはこの「耐震等級3」だけでは本当の意味での安心にはつながらないと考えています。
なぜなら、耐震等級の取得方法には「壁量計算」と「許容応力度計算」の2つの方法があり、その根拠に大きな違いがあるからです。

壁量計算は、主に簡易な構造計算方法であり、木造住宅で広く使われていますが、構造全体のバランスや接合部の強さなどが十分に考慮されていません。

一方で、許容応力度計算は、大型建築物などでも使われる本格的な構造計算手法で、地震時の建物の変形や部材ごとの応力など、細かい部分まで解析されます。

同じ「耐震等級3」という表示でも、壁量計算と許容応力度計算では、その信頼性に雲泥の差があるのです。

2.真の高耐震住宅は「許容応力度計算+耐震等級3」

本当に安心できる住まいを実現するには、許容応力度計算に基づいた耐震設計が不可欠です。

この計算に基づく耐震等級3であれば、構造的な裏付けがより明確であり、大きな地震の際にも倒壊リスクを最小限に抑えることができます。

つまり、「耐震等級3」だけではなく、「許容応力度計算+耐震等級3」であることが、本当の高耐震住宅の条件なのです。

私たちは、単に基準をクリアするための家づくりではなく、お客様が将来にわたって安心して暮らせる住まいづくりを目指しています。

そのためには、設計段階から「構造的安全性」を数値で可視化し、確かな根拠を持ってプランをご提案することが必要不可欠です。

3.「住まいづくり」とは安心の時間をつくること

「家づくり」という言葉が、ただモノを売ることにとどまるとすれば、私たちは「住まいづくり」という体験を大切にしています。

それは、住まいが完成した後も、家族が安心して笑顔で暮らせることを目指した取り組みです。

高耐震住宅の考え方もその一部です。
目先のコストを抑えるために簡易な構造計算で済ませるのではなく、大きな揺れにもしっかりと耐えうる構造を確保することが、ご家族の未来の安全につながると信じています。

これが、私たちが考える「住まいづくり」であり、「安心の時間」を生み出すための姿勢なのです。

4.高耐震住宅にふさわしい素材選びも重要

構造の強さだけではなく、使用する素材にもこだわることが、住まい全体の安心感につながります。

たとえば、室内には本漆喰の壁を採用することで、空気中の湿度を調整し、カビやダニの発生を抑制する効果が期待できます。

床材には無垢材を使うことで、素足でも快適な触り心地とともに、時が経つほど味わい深くなる経年変化も楽しめます。

断熱材としては、近年注目されているセルロースファイバーが優れた選択肢です。
この素材は新聞紙を再利用したエコな素材で、吸音性や吸放湿性に優れているため、室内環境の安定に貢献します。
高い断熱性能を持ちながらも、自然素材ならではのやわらかな空気感を住まいに取り込める点も魅力です。

5.構造と温熱環境、どちらも妥協しない

地震に強い家をつくるとき、構造面に注力しすぎて他の快適性を後回しにしてしまうケースがあります。

しかし、本当に安心できる住まいとは、「構造的な強さ」と「温熱環境の良さ」の両方を兼ね備えてこそです。

たとえば、許容応力度計算で構造を最適化しながら、セルロースファイバーを使った断熱設計により、夏も冬も快適な室温を保てるよう工夫します。

また、自然素材を多く使った住まいは化学物質の影響も少なく、アレルギーやシックハウスに悩まされるリスクも減らすことができます。

家族の健康を守りつつ、災害にも強い住まいこそが、これからの時代にふさわしい住まいづくりだと私たちは考えています。

6.見落としがちな「長期的な安心」の視点を持つ

耐震等級や素材の良さは、「今」の安心感を支える要素ですが、「将来」の視点を持つことも大切です。

たとえば、地震後に補修が必要になるかどうかは、構造の設計次第です。
大きな揺れに一度耐えたとしても、その後に安心して暮らし続けられるかどうかは別の問題です。

また、自然素材の住まいは経年劣化が少なく、長期的に快適性を維持しやすいという利点もあります。
無垢材や本漆喰、セルロースファイバーなどは、適切にメンテナンスすれば長持ちし、コストパフォーマンスの面でも優れた選択となります。

これから住まいを検討される方が地震に対してできること。
それは「許容応力度計算に基づいた耐震等級3」で構造部材の破損リスクを抑えられる住まいを選ぶことです。






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この記事を書いた人

竹澤 貫

エッグ住まいる工房 取締役副社長/営業・広報担当 大手ハウスメーカー、中規模ビルダーの営業経験を経て、エッグ住まいる工房で「笑顔を作る住まいづくり」についてお客様に発信をし続けている。 パソコン・Web関係に強く、Instagramの公式アカウントでは毎週金曜日に失敗しない住宅計画についてライブ配信を行っている。

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