軒天(のきてん)の工夫で外観をおしゃれにする

1.軒天(のきてん)のことについて考えてみる

軒天という単語を皆さんはご存じでしょうか?
普段日常生活を送っているとまず関わることのない言葉、軒天。これは住宅の専門用語で、「屋根の裏側のパーツ」を指します。写真の部分ですね。

新築を検討している皆さんは、きっとたくさんの家の写真を見ている所かと思います。その中で、この軒天の部分がちょっとおしゃれになっている写真を見たことがある方もいるのではないでしょうか。

今日はそんな軒天というちょっとマニアックなパーツについて、解説していきたいと思います。

皆さん初めまして。
茨木市で自然素材の注文住宅を建てる工務店
エッグ住まいる工房の竹澤貫と申します。

2.軒天ってなに?

そもそもこの軒天というのが何なのか?について少し説明します。

 ▶軒(のき)ってなに?

軒(のき)というのは、屋根のある一部分を指す言葉で、外壁・窓・玄関などから外に向かって出っ張っている部分。突き出している部分のことを指します。この軒は家の長持ちのために非常に重要な役割を持っていて、最も大きな役割は「雨漏り対策」です。

少し話は逸れますが、この軒のないほぼ真四角な家はデザインがモダンでスタイリッシュになるという利点はありますが、雨の当たる範囲の広さと、それに伴うリスクを知っておく。特に
 ①外壁の汚れやすさ
 ②雨漏りのリスク上昇

の2つの点はよく理解した上で選ぶ必要があります。

出展:住宅保証支援機構資料 (https://x.gd/JHRXH)

古くから親しまれ、今なお大半の家が大なり小なり軒を出して建っているのは、「そういうデザインをみんなが好きだから」ではなく、「日本の気候風土に適していて家が長持ちするから」という点がとても大きいですね。

 ▶軒天ってなに?

さて、そんな軒の説明でしたが、今回のテーマである軒天について。軒天とは、軒の裏側。軒を見上げた時の天井にあたる部分のことです。完成した建物の軒天には軒天材という仕上げの材料が貼られており、野地板や垂木などの構造木材にフタをするように作られます。
このフタの主な役割は「延焼防止」と「意匠性(デザイン性)」
火災が発生した場合にもし軒天材を付けていなかったら。軒から火が周り、屋根が全て燃えて焼け落ちてしまいます。
そのためこの軒天には難燃の材料・耐火性高い材料であるケイカル版を使うことが主流です。

ちなみにバルコニーの裏側や玄関の天井についても同様に軒天とひとくくりにすることが多いですが、便宜上分かりやすくするために「バルコニー天」や「ポーチ天」と呼ぶこともあります。

3.軒天のデザインをオシャレにする

家を守るためにとても大切な軒天ですが、近年この軒天のデザインにアクセントを取り入れることで、家の外観に遊びを持たせるケースが増えてきました。
最近では大手ハウスメーカーの家(商品タイプなどにもよりますが)も軒天を木目にしたものが増えてきているので、希望されるお施主様の数が多いのだと思います。

 ▶①シンプルなケイカル板

もっとも一般的であり、実際に数が多いのがこちらのケイカル板仕上げ。
このケイカル板に外壁と同じ塗装を施す方法もあり、その場合スッキリとした印象に出来る。そんな方法もあります。

 ▶②木目調ケイカル版

軒天にアクセントを入れて遊びたい方が選ぶ1つ目の選択肢。①に比べ数万円お金がかかるが、本物の木を貼るのに比べると安価な点、色褪せにくい点がメリット。

 ▶③羽目板軒天(はめいた)

軒天にアクセントを入れて遊びたい方が選ぶ2つ目の選択肢。木目調ケイカル版と違い、20万円前後程度は少なくとも予算を見ておきたい仕上げ。本物の木特有の色の濃淡や、表面の質感は一目惚れする方が数多くいます。また選ぶ木の種類によって表情が変わる点も魅力。ただし、経年の変化で色が抜けていくため、コロコロとDIYでまた塗装したりするメンテナンスをしなきゃいけない所は要注意です。

※価格については採用する面積により異なるためあくまで参考予算です。かならず担当者に相談するようにしてください。

4.小さなこだわり、小さなお気に入りを作る軒天

軒天というのは家のデザインの中で主役になることはありません。
外観の大半の面積を占める外壁の方が目立ちます。
皆が目を向ける玄関ドアの方が目立ちます。

ですが、このアクセントは、自由な設計の選択肢の中でお客様がわざわざ選んだ遊び心です。実際に完成して、暮らし始めて、ふと見上げた時にそんな遊び心が目に入る。そこで「やっぱり我が家いいなぁ」とかみしめる。そんな存在です。
是非たくさんこの軒天についても調べて、皆さんにとって1番好きになる家を目指して頂ければと思います。
その他の外観についてはこちら

この記事を書いた人

竹澤 貫
竹澤 貫
エッグ住まいる工房 取締役副社長/営業・広報担当
大手ハウスメーカー、中規模ビルダーの営業経験を経て、エッグ住まいる工房で「笑顔を作る住まいづくり」についてお客様に発信をし続けている。
パソコン・Web関係に強く、Instagramの公式アカウントでは毎週金曜日に失敗しない住宅計画についてライブ配信を行っている。