価値ある住まいを継承する

① 「財産を残す」だけでは伝わらないものがある
家というのは、単に財産ではありません。
土地や建物の価値を超えて、「想い」や「生き方」を伝えるものです。
どんなに高価な不動産でも、そこに温もりや歴史が感じられなければ、
次の世代に“引き継ぎたい”とは思えません。
逆に、素材の味わいや、家族の手入れの跡が感じられる住まいは、
時間が経つほどに愛着が深まり、自然と受け継がれていきます。
“財産を残す”のではなく、“価値を継ぐ”。
それが、これからの住まいづくりにおいて大切な考え方です。
② 日本の家が「継がれにくい」理由とは
日本では、家が20〜30年で建て替えられることが当たり前になっています。
理由のひとつは、建物自体が長く使うことを想定して設計されていないからです。
さらに、素材の選び方や施工のあり方にも課題があります。
ビニールクロスや化学塗装などの新建材は、
時間が経つと劣化し、修繕よりも“貼り替え”が前提になります。
結果として、家を育てる文化が根づかないまま、
「古くなったら壊す」という循環が続いてきました。
けれども本来、家は“朽ちるもの”ではなく、“育つもの”です。
素材の選び方と、手をかけながら維持していく姿勢によって、
家は世代を超えて価値を保つことができます。
③ 時を経て美しくなる「自然素材の力」
自然素材の家は、時間とともに価値を増していきます。
たとえば、無垢の床は使うほどに艶を増し、
小さな傷さえも“味わい”に変わります。
漆喰の壁は呼吸し、室内の湿度を整えながら、
経年でわずかに色を深め、独特の風合いを生み出します。
それらは決して新品の輝きではなく、
暮らしの時間を映し出す“美しい変化”です。
私たちエッグ住まいる工房では、
漆喰や無垢材、セルロースファイバーなど、
自然素材が持つ本来の力を活かした住まいづくりを大切にしています。
それは単なる“高級素材”ではなく、
家そのものが長く健やかに呼吸し続けるための選択です。
自然素材の家は、年月を経ても「古びる」ことがありません。
むしろ、時とともに“深み”を増しながら、
家族の物語を刻んでいくのです。
④ 大工の技と造作が、家の品格をつくる
もうひとつ、価値ある住まいを語る上で欠かせないのが、
大工の手仕事です。
既製品の部材を組み立てるだけの家づくりでは、
均一で便利ではありますが、どこか味気ない。
一方で、腕の確かな大工が木を見極め、
一本一本に合わせて仕口(しぐち)や納まりを考える家には、
“人の温度”が宿ります。
私たちの大工は、造作家具や無垢の框(かまち)、
階段手すりなどの細部にも、職人の誇りを込めます。
それは、カタログでは表現できない“手ざわりの美学”。
家族が日々触れる場所に、
大工の技と心が息づいているからこそ、
その家は年月を重ねてもなお品格を保ち続けます。
人の手がつくるものは、時間の流れに負けません。
むしろ、時が経つほどに“味”となって輝き続けます。
⑤ 継承される住まいに共通する3つの条件
長く価値を保ち、次世代に受け継がれていく住まいには、
いくつかの共通点があります。
まずひとつめは、本物の素材を使っていること。
無垢材や漆喰のように、化学的に再現できない素材には、
経年変化を“美しさ”に変える力があります。
ふたつめは、構造と通気がしっかりしていること。
見えない部分こそ、家の寿命を決める要です。
適切な湿度管理やメンテナンス計画があれば、
親子三世代先でも健やかな家でいられます。
そして三つめは、関係が続くこと。
建てて終わりではなく、
工務店とお施主様が一緒に家を育てていく関係があってこそ、
家の価値は守られます。
定期点検やメンテナンスのたびに、
少しずつ手を加えながら住まいを磨いていく。
その積み重ねが、家族の思い出と共に“資産”となるのです。
⑥ 価値ある住まいを、次の世代へ
家を継ぐということは、
単に財産を引き継ぐということではありません。
そこに込められた想い、
素材が育んだ温もり、
職人が残した手の跡――
それらすべてが“文化”として継がれていきます。
私たちエッグ住まいる工房は、
そんな「長く価値を保つ家」をつくり、
次の世代へとつないでいくことを使命としています。
自然素材の家は、
時が経つほどにその魅力を増していきます。
それはまるで、人が年齢を重ねて深みを増すように。
“残す”とは、モノを渡すことではなく、
想いと価値を未来へ託すこと。
次の世代が扉を開けたとき、
「この家を残してくれてよかった」と感じてもらえる。
そんな住まいを、丁寧に届けていきたいと思います。
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