木の新しい表情 ― GYWOODが見せる可能性

みなさん、こんばんは。
自然素材の注文住宅を建てる茨木市の工務店、エッグ住まいる工房の代表であり、設計も担当しております長野です。
先日、取引のある建材商社さんが主催した「木フェス展示会」に参加してきまして、今日は前回記事の続きとなります。よろしければ前回記事もご覧ください。
柔らかい杉を固くする。「GYWOOD(ギュッド)」
では前回に続き、「木フェス展示会」で感じた“木の新しい可能性”をもうひとつご紹介したいと思います。それが「GYWOOD(ギュッド)」という名前の新素材です。
一見すると無垢の杉なのですが、触ってみると驚くほど表面が硬く、しっかりとした感触があります。聞けば国産の杉を使い、表面だけを高圧でぎゅっと押し固めて作られているとのこと。つまり、柔らかくて傷がつきやすい針葉樹の欠点を克服し、強さと美しさを両立させた新しい木材なのです。
杉や桧は、私たちが住まいづくりでよく使う身近な素材ですが、どうしても“やさしさ”と引き換えに“傷つきやすさ”がありました。私の住まいも含め、床には温かみのある杉や桧の無垢材を使っておりますがカウンターや棚には柔らかく傷つきやすさから使用を控えてきました。出来れば床の同じ材種で統一したかったのですが・・・。
GYWOODは、そうした悩みを解決してくれる素材です。表面はしっかりとした硬さがありながら、内部には木の温もりや軽さを残しているため、手ざわりは無垢材そのもの。加工や塗装をほとんどせずにこの性能を発揮できるのは、本当にすごい技術だと思いました。
国産材が今一度輝く。活躍の場が生まれる新しい姿
もう一つ、私がこの素材に惹かれた理由があります。それは「日本の森を守る」という視点です。
今、日本の森林では大きく育ったスギやヒノキが増えていますが、活用の場が少なく、伐っても使われにくいという課題があります。GYWOODは、そうした国産材を価値ある素材に生まれ変わらせる技術でもあります。自然素材を活かしながら、しっかりと使い切る――まさにサステナブルな考え方に共感しました。
住まいの中では、例えばキッチンの天板やダイニングテーブル、よく触れるドアや家具の面材などに使えば、木のぬくもりと高い耐久性を両立できます。無垢材の自然な質感を楽しみたいけれど、暮らしやすさも大切にしたい――そんな方にはとても魅力的な素材です。
温故知新。故きを温(たず)ね、新しきを知る
木フェスでは、前回ご紹介した「無垢材トラス工法」に続き、このGYWOODを見て、改めて“木の可能性はまだまだ広がっている”と感じました。自然素材の住まいづくりも、ただ昔ながらのやり方を守るだけでなく、こうした新しい技術や素材をうまく取り入れることで、より快適で長く愛される住まいをつくることができると思います。
木を愛する者として、そして設計を担う者として、これからも「自然素材の未来」を感じる新しい出会いを大切にしていきたいと思います。