家の床は何にしようかな?合板フローリングと調湿効果のある無垢床との比較

1.住まいづくりの中で床材選びが大切な理由
床材は、住まいの中でも日常的に最も身体に触れる場所です。
毎日、素足で歩く場所だからこそ、素材の質感や温度、調湿性が暮らしの快適さに直結します。
また、床材の選定は、デザインだけでなく、耐久性や健康面にも影響します。
だからこそ、「床はどんな素材を選ぶか?」という問いは、住まいづくりにおいて非常に重要なポイントです。
今回は、よく使われる合板フローリングと、調湿効果に優れた無垢床を比較しながら、あなたに合った床材の選び方を考えていきます。
2.合板フローリングとは?その特徴とメリット・デメリット
合板フローリングは、ベニヤ板のように複数の木材を接着剤で貼り合わせた基材に、薄い木の化粧板を貼ったものです。
住宅の量産化とともに広がった床材で、現在も多くの新築住宅やリフォームで採用されています。
メリットとして挙げられるのは以下の点です。
・コストが比較的安く、手が出しやすい
・反りや割れが起きにくく、扱いやすい
・色柄のバリエーションが豊富で、好みに合わせやすい
一方、デメリットもあります。
・接着剤や化学塗料が使用されており、揮発性化学物質(VOC)が心配されることもある
・調湿性はほとんどなく、室内の湿度変化には対応できない
・年月とともに表面が剥がれたり、キズが目立つようになり、メンテナンスが難しい
デザイン性と価格を優先したい人には選択肢の一つですが、快適さや自然素材にこだわりたい方には、やや物足りないかもしれません。
3.無垢床とは?調湿性や質感で選ばれる自然素材の魅力
無垢床とは、一本の木から切り出された、まじりけのない木材のことです。
接着剤などを使わず、天然木そのものの質感や香りを楽しめることが大きな魅力です。
無垢床の特徴としては、以下の点が挙げられます。
・自然素材ゆえの調湿効果があり、湿気の多い夏はサラリと、冬はほんのり暖かく感じる
・経年変化によって色味やツヤが増し、「味わい」が深まる
・傷やへこみができても、それが個性として魅力になる
また、化学物質をほとんど使っていないため、小さなお子さまやアレルギー体質の方にも安心です。
無垢床のもつ温もりや調湿性は、セルロースファイバー断熱材や本漆喰の内壁とあわせて使うことで、住まい全体の「呼吸する家」にもつながります。
4.無垢床を選ぶときに知っておきたい「針葉樹」と「広葉樹」の違い
一口に無垢床といっても、その種類はさまざまです。
とくに知っておきたいのが、「針葉樹」と「広葉樹」の違いです。
針葉樹の無垢床材(例:スギ、ヒノキ、パインなど)
・やわらかく、足触りが心地よい
・冬でもヒヤッとせず、断熱性が高い
・反面、傷がつきやすいという面も
広葉樹の無垢床材(例:ナラ、チェリー、ウォールナットなど)
・硬くて傷に強く、重厚感がある
・仕上がりは高級感があり、経年美化も楽しめる
・足ざわりはやや硬めで、冷たく感じることもある
針葉樹はナチュラルで温かみのある暮らし、広葉樹は重厚でスタイリッシュな空間に向いています。
それぞれの特性を知ることで、自分の暮らしに合った無垢床を選びやすくなります。
5.メンテナンス性の違いと長期的なコスト感
合板フローリングは表面に強化フィルムやウレタン塗装が施されていることが多く、最初は汚れに強く、掃除もしやすいです。
ただし、表面が傷んだ場合は張り替えるしかなく、修繕性には限界があります。
一方、無垢床は小さなキズならヤスリで削る、オイルを塗り直すといった形で、部分的にメンテナンスができます。
「育てていく」感覚で、年々愛着が湧いてくるのが無垢床の醍醐味です。
初期費用こそ高めに感じる無垢床ですが、長期的に見れば、張り替えサイクルが少なく、ランニングコストを抑えることができます。
また、傷や汚れが「味わい」に変わるという価値観も、自然素材の魅力を感じさせるポイントです。
6.自分らしい暮らしを叶えるために、床材はどう選ぶ?
家は、暮らす人のライフスタイルや価値観を映し出す鏡です。
床材をどう選ぶかは、単に「素材の違い」ではなく、「どんな空間で、どんなふうに暮らしたいか」という思いに直結します。
毎日、素足で過ごしたい。
季節の湿気や乾燥に悩まされず、快適に暮らしたい。
自然素材に囲まれた、やさしい空気の中で家族と過ごしたい。
そんな思いを持っているなら、無垢床はまさにその理想を形にしてくれる存在です。
無垢床と合わせて、セルロースファイバー断熱材や本漆喰の内壁を取り入れることで、家全体が呼吸し、調和する空間をつくることができます。
自然と共に生きる住まいは、単に快適なだけでなく、心まで健やかにしてくれます。
素材の選択が、暮らしの質を大きく左右するということを、ぜひ床材選びの段階から意識してみてください。
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