【住まいづくり10か条】第4条「ただ言われた通りの家づくりはしません。お施主様の潜在的なご要望まで汲み取る提案で、夢のある住まいづくりを目指します。」

みなさん、こんばんは。自然素材の注文住宅を建てる茨木市の工務店、エッグ住まいる工房 代表兼設計担当の長野です。

「住まいづくり10か条」シリーズ、今回は第4条について。この言葉は、私たちが日々の設計や打ち合わせの中で、特に大切にしている姿勢のひとつです。

「言われた通り」では本当にいい家にならない

注文住宅は、お施主様のご要望を反映してつくっていくもの。「リビングは広くしたい」「収納をたっぷりほしい」「自然素材を使いたい」──もちろん、こうしたご要望はすべて大切に受け止めます。
でも、私たちが目指すのは「ご要望をパズルのように組み合わせただけの家」ではありません。なぜなら、それだけでは本当に暮らしやすい住まいにならないことが多いからです。

敷地の特性を活かしながら、採光や通風、暮らしの流れを考えた配置に、さらに“プラスα”の工夫を加える。

時には最初のご要望とは大きく違う間取りになることもありますが、それが結果的に「住みやすい」と感じていただけることにつながります。

部分だけ直しても暮らしは成り立たない

知り合いからよく聞くのがこんな声です。

「打ち合わせで間取りの変更をお願いしたら、その部分だけは直してくれるんだけど、全体の繋がりは考えてくれなくて…」

実は間取りというのは、ひとつを動かすと全体が連動して変わってしまうもの。例えば、キッチンの位置を少し動かしただけで、動線や明るさ、収納計画にまで影響が出ます。
つまり、生活の流れそのものが変わるのです。 だから私たちは「言われたところだけ」を修正するのではなく、「それによって暮らし全体がどう変わるか」まで考えてご提案します。

潜在的なご要望をくみ取る

打ち合わせの中では、要望として出ていなくても大切なヒントが隠れています。
例えばこんなことがありました。

「家の前の道は人通りが多いので、外からの視線を気にせずに、家の中に光を取り入れてのびのび過ごせたら…」

そんな一言から、私たちはコートハウス(中庭のある家)をご提案し、採用していただいたケースがあります。「図面に書いてある要望を叶える」だけでなく、何気ない会話の中から暮らしを豊かにするヒントを見つけて形にする。それも私たちの役割だと思っています

ご家族の“未来の暮らし”まで描く

大切なのは「今」だけではありません。小さなお子様がいるご家庭なら「子育て期」と「巣立ち後」では暮らし方が大きく変わります。
最近は「子ども部屋は小さくていいからLDKを広くしたい」というご要望がよくあります。4帖半の子ども部屋を2部屋や3部屋に分けるケースもありますが、子どもが巣立った後や、帰省時に家族が増えたときはどうでしょうか。
私たちは、子ども部屋を並べて配置し、将来は仕切りを外して広い寝室にできるような提案をしています。
だからこそ打ち合わせでは、少し踏み込んだ質問もさせていただきます。「そんなことまで聞かれるの?」と思われるかもしれませんが、それはご家族が気づいていない“潜在的なご要望”を一緒に見つけ出すためなんです。

夢のある住まいづくりへ

私たちが目指すのは、「お願いしたことが全部叶った家」ではなく、「想像していた以上に暮らしが豊かになる住まい」です。
要望をしっかり受け止め、その奥にある夢や想いをくみ取り、図面や素材に落とし込む。そして完成したときに「ここまで考えてくれていたんだ」と驚きと喜びを感じていただく。その瞬間こそが、私たちにとって最高のご褒美です。

最後に

住まいづくりは、ただモノをつくる作業ではありません。お施主様がまだ言葉にしていない願いや、将来のライフスタイルまで一緒に想像していくこと。そして部分的な修正ではなく、暮らし全体のつながりを整えること。
その積み重ねが、ご家族にとって「夢のある住まい」につながるのだと思います。
私たちはこれからも、“言われたこと以上”のご提案で、皆さまの暮らしを支える舞台をつくってまいります。

この記事を書いた人

長野 孝彦

エッグ住まいる工房 代表取締役社長/設計担当 現在エッグ住まいる工房で建てる新築のお住まい全ての設計を担当している建築士。建築業界に携わり30余年、累計300棟以上の住まいづくりに関わってきた。デザイン、機能性、メンテナンス性、そしてお施主様のリクエスト。それらをバランスよく取り入れて暮らし方を提案することを得意としている。

著者のすべての記事を見る