お仏壇から学ぶ「受け継ぐ文化」

こんばんは!
茨木市にある自然素材の注文住宅を建てる工務店、エッグ住まいる工房のフジオカです。

 

現在リフォームのご相談をいただいているお施主様のお宅には、実家から引き継がれた立派なお仏壇があります。
そのお仏壇は2階のリビングにあり、今回のリフォームでは「お仏壇を1階へ移動し、今のスペースを収納にしたい」とのご希望。

 

ところが──
以前はベランダを経由して搬入できたものが、今はテラス囲いが設置されており、搬出経路として使えません。

もちろん、奥行が深いお仏壇は、階段も廻りきれず…。

 

 

そこで、お仏壇の移動や修復を専門とされている業者さんに見ていただいたところ、
「このお仏壇なら分解して再度組み立てることで移動できますよ」との心強いお言葉をいただきました。

 

これを機に小さなお仏壇に買い替えることも検討されましたが、やはり戦前から代々受け継いできたお仏壇を簡単に替えるわけにもいかず…。
いろいろな検討をした末に「移動できる」という回答を得られ、お施主様も私もホッと胸をなでおろしました。

 

普段お話しをする機会も中々ないお仏壇の専門業者さんのお話しの中で、特に印象に残ったのが、
「昔のお仏壇は、代々受け継いでいくことを前提に作られているんですよ」というお話し。
分解できる構造になっているのも、修理や修復を前提としているからだそう。

 

伝統的なお仏壇は、分解し傷んだ各パーツを修繕・交換したり、金箔の貼り替えなどの“お洗濯”を行うことで、再び美しい姿を取り戻すことができます。
また、紫檀(したん)・黒檀(こくたん)・欅(けやき)といった硬く耐久性の高い木材を使用し、漆を塗ることで湿気や虫害から守る工夫もされています。

 

最近では、リビングに馴染むデザインのコンパクト仏壇も増えていますが、
今回のような伝統的なお仏壇でも、リメイクによってそうしたコンパクトな“現代仏壇”へと生まれ変わらせることもできるそうです。

 

今回のお話しを通して、お仏壇そのものの価値を改めて知り、
「昔はお仏壇も家も、“受け継ぐもの”としてつくられていた」
という“受け継ぐ文化”をしみじみと感じました。

 

もちろん、暮らし方が多様化する現代では、昔の大きなお仏壇が今の住まいに合わないこともあります。

 

それでも前回の自然素材の部分メンテナンスのしやすさ同様、自然素材の加工のしやすさ、応用力の高さに改め気付かされたお話しでした。

この記事を書いた人

藤岡 絵美

エッグ住まいる工房 設計・リフォーム営業担当 二級建築士とインテリアコーディネーターの資格を持ち、新築・リフォーム問わず設計目線でお客様の住まいづくりをお手伝いする。 住まいの「心地よさ」を最も大切にしており、その言語化することが難しい部分をお客様ととことんお話すること掘り下げて、実現できる提案に結び付けている。

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