構造見学から知る、家の断熱性のことについて学ぶ

みなさんこんばんは
茨木市で自然素材の注文住宅を建てる工務店
エッグ住まいる工房 竹澤貫 と申します。
今日は以前アップした『構造見学会で見るべきポイント』について、<断熱性能>のテーマの部分に絞ってお話していこうと思います。
夏涼しくて、冬暖かい家がいい。これは誰もが共通して持っている住居への理想の姿。
ですが、この <断熱性能> というのは見たことのない単語や単位、数値などで語られることが多く、よくわからないけど「高い断熱性能にしていますよ」という営業マンの一言で安心してすっかり抜け落ちてしまうこともしばしば。
今回はそうした細かい性能や数値の話ではありません。骨組みの状態の構造見学でどんなポイントを見るのがいいか。そんな知識が少しでも身につけばと思い記事をまとめてみました。
以前アップした『構造見学会で見るべきポイント』の記事では、幅広く耐震や断熱などについてお話していますので、よろしければぜひそちらもご覧ください。
https://www.egg-jp.com/staff_blog/staff_blog-22271/
断熱性能の基礎知識。UA値
冒頭で「細かな数値の話は割愛します。」とはいったものの、簡単に単位と数値のお話には触れておこうかなと思います。
今この日本では、平成25年省エネ基準改正のタイミング以降家の断熱性能を測る数値=「UA値(ユーエーチ)」が用いられるようになりました。日本語に直すと「外皮平均熱貫流率」。単位は「W/㎡K」。後ろ2つの単語は覚えなくても大丈夫です。「UA値」というものが断熱性能のことを指すんだな。くらいでかまいません。
そんな「UA値」について、覚えておくのがいいかなというポイントをお話しておきます。
① 「UA値」は数字が小さくなればなるほど高性能。
② 2025年4月から「0.87以下」の家にすることが義務化された。(一部地域によります)
③ 2030年には「0.6以下」を義務化する方針。(未確定)
ごらんの通り国の方針としては住宅性能は早急に高性能化していきたいと考えている。つまり、基準の底上げをどんどんしようとしています。
ですが、高い性能の家にするためには工務店や職人には高い技術が求められる。家の価格は当然高くなるため、家が欲しい人たちにとっては急な価格上昇に混乱が起こる。
こうした理由から、段階的な 家の高性能化 を目指しているという背景があるわけです。
断熱性能の高い家のつくりかた
なるほどなるほど。まあとはいえ説明を受けるまでもなく、高い断熱性能の家にしたい!というのは万人共通の望みなわけです。
ではこの「高い断熱性能の家の作り方」の話です。
室内の熱が家の外に逃げていく要因というのは様々ありますが、この「UA値」という数値にのみ限って言えば、数値の基準になるのは主に
屋根 壁 窓 です。
◇例.クーラーボックスと車
クーラーボックスと車などを例に挙げてみます。
◇クーラーボックス
屋根・・・断熱材(発泡スチロールなど)がみっちり入っている。
壁 ・・・断熱材(発泡スチロールなど)がみっちり入っている。
窓 ・・・ない
◇車
屋根・・・断熱材は入っていない
壁 ・・・断熱材は入っていない
窓 ・・・ある
クーラーボックスの中で冷やしたものは、その冷たさを長時間保ち続けます。
車の中にある冷たい飲み物は、夏場になるとあっという間にぬるくなります。
つまり、「屋根の断熱性能」「壁の断熱性能」「窓の断熱性能」が積みあがることによって、「高断熱な家になる」というわけですね。
ちなみにこれは余談ですが、高性能な窓と壁の断熱性能を比較すると、当然壁の方が断熱性能は高くなります。
つまり、「窓のない家」=「ものすごく断熱性能の高い家」になります。
非現実的ですけどね。
だから
「めちゃくちゃ大きい窓が欲しい!!」
と
「めちゃくちゃ断熱性能の高い家がいい!!」
は、実は相反するオーダーだったりするわけです。それはできません!っていう話ではありませんが。
断熱性能の高い家(あくまで計算上)
さて、前置きが少し長くなりましたが、ここからが構造見学をする際に見ておきたいポイントについてのお話です。
それは、断熱材について。
前回記事の耐震性能のお話の時にも同じようなお話を書きましたが、この「UA値」という<断熱性能>を測る数値は机上計算上のものであり、実際に現地で測定されているものではありません。
つまり、疑った目で見るならば「きちんと丁寧な断熱工事をしないと、その数値は出ない。」ということを意味します。
また、それだけではありません。それは壁の中で結露を起こして家がカビたり腐ったりする原因にもなる。こうなるとめちゃくちゃ大きなトラブルの原因になります。
そして、「それは家が完成してフタをされると見えなくなる。」というのが厄介。

画像のように「壁紙にうっすらカビが生えてる!」ということが発覚して、これが室内の湿気が原因で発生したものならまだいいのですが、壁内部がカビまみれになっていて、それがおもてに出てきたような場合は最悪です。
構造見学で断熱材を見てみる
構造見学会というのは、
「この会社の建てる家は本当にいい家なのか?」を確認するために見に行くことと、
「いずれ自分たちが建てる時にどんな場所を見ておくべきか?」を知るために行くこと
こうした意味合いがあります。
この断熱材を見る というチェックは、確かにみなさんの目で見て一見してわかるほどの仕上がりになってはいないかもしれません。
ですが、「これで大丈夫なのかな?」と、安心するため、確認するために見に行くこと自体は無意味にはなりません。
ぜひ一度、ご覧になってみていただきたいところです。