自然素材の塗り壁。漆喰と珪藻土とシラス壁の違いを解説
自然素材の家を建てたい方にとって、室内壁の仕上げに使われる代表的な3つの材料について、すでに名前だけご存じの方も多くいることかと思います。
その代表的な材料が、漆喰、珪藻土、シラス壁の3種類。
ですが、このそれぞれの材料の違いをご存じの方はあまり多くありません。
今日はそんな室内塗り壁材の特徴や違い、採用する際の注意点について順番に解説していきます。
1.塗り壁の種類ついて。左官工事と塗装工事の違い
まずはこの漆喰、珪藻土、シラス壁それぞれの壁の共通点と専門用語について解説していきます。
これら3つの材料が 塗り壁 に該当するのはご存じかと思います。
ビニールクロスのような、壁に貼る工事でなく、材料を壁に塗る工事。それがこの漆喰、珪藻土、シラス壁の工事方法です。
ではこの 塗り壁 にも2種類あることはご存じでしょうか。
まずはその違いについて解説します。
▶左官工事(さかんこうじ)

建物の壁や床に コテ を使って漆喰などの材料を塗る仕事のこと。これを左官工事(さかんこうじ)と言います。色を塗って付けるというよりは柔らかい材料を塗り付けるイメージ。身近な物だとケーキに生クリームを塗るのは左官仕事に近いですね。
材料そのものの塗り付け方の工夫で陰影や凹凸が出るため、強く素材感が出るのが特徴です。
▶塗装工事(とそうこうじ)

建物の壁や床に ローラー、ハケ、筆、スプレー を使って塗料を塗る仕事のこと。これを塗装工事(とそうこうじ)と言います。こちらは色を付けるため、またはそのコーティングだけをするイメージ。
材料そのものには厚みがないものの、材料によって塗り付ける素地の材質や質感を活かすものや、完全に覆い隠すコーティングのような塗装もあります。
2.漆喰と珪藻土とシラスの特徴
▶漆喰
――石灰石から作られる消石灰が主成分の自然素材。日本では昔から使われており、城や蔵の壁に塗られていました。

メリット
・ 調湿性・防カビ性に優れる
・ 抗菌・消臭効果がある
・ 仕上がりが美しく、高級感がある
・ CO₂を吸収して硬化する、環境に優しい素材
デメリット
・ 割れやすい(クラックが入りやすい)
・ 施工に高い技術が必要(左官職人が必要)
・ コストが高め
▶珪藻土
――珪藻土はプランクトンが太古の昔に堆積したものです。近年バスマットなど身近な雑貨によく使われるようになっています。

メリット
・ 非常に優れた調湿性能
・ 脱臭・有害物質吸着の効果もある
・ 施工が比較的簡単でDIY向きの製品も多い
デメリット
・ 商品によっては接着剤成分が多く、自然素材とは限らない
・ 水に弱く、カビの発生に注意が必要
・ 割れやすく、掃除がしにくい面も
▶シラス壁(薩摩中霧島壁 等)
――シラス壁の商品として代表的なものとして、薩摩中霧島壁があります。火山灰に近い火山噴出物「シラス」が主成分。最近注目を集めている自然素材です。

メリット
・ 高い調湿・消臭性能
・ シックハウス症候群対策に効果的
・ 耐久性・耐候性に優れ、屋外使用も可能
・ 色のバリエーションがあり、デザインの選択幅が広い
デメリット
・ 一般的な建材に比べて価格が高め
・ 素材の粒子が粗く、触れるとかなりザラつきがある
・ 一部製品は扱える施工業者が限られる
▶特徴まとめ
項目 | 漆喰 | 珪藻土 | シラス壁 |
---|---|---|---|
主成分 | 消石灰 | 珪藻 | 火山噴出物 |
調湿性 | ◎ | ◎ | ◎ |
消臭・防臭 | 〇 | ◎ | ◎ |
カビ・ダニ抑制 | ◎ | △ | ◎ |
意匠性 | ◎ | 〇 | ◎ |
使いやすさ | ◎ | 〇 | △ |
屋外使用 | ◎ | △ | ◎ |
価格 | 高 | 中 | 高 |
DIY向き | △ | 〇 | ✕ |
3.自然素材の塗り壁を用途や暮らし方に合わせて選ぶ
自然素材の塗り壁はどれがより優れているか?という優劣が付けられるものではなく、それぞれにメリット・デメリットがあります。
ただし、唯一注意しなければならないのが、珪藻土。
「商品によっては接着剤成分が多く、自然素材とは限らない」
というデメリットにもあるように、商品が広く普及した結果商品の品質にかなりバラつきが出るようになりました。
自然素材で健康な住まいを目指して、接着剤がふんだんに使われた珪藻土を選んでしまうと本末転倒です。よく確認するようにしてください。
エッグ住まいる工房では多くのお施主様が価格、メンテナンス性、調湿性などの性能、それらのバランスがいい漆喰壁を選択し、お住まいを作っています。
実物を見ることもまたとても大切ですので、完成したお住まいの見学など是非足を運ぶようにしてください。